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「色を待とう」

「いろをまとう」を打って「色を待とう」と変換してしまう私のMacBook Airがいいかどうかはわからないけど、服を選ぶとき、私たちは多分色を待っている。なんだか瞬間的にそう思った。

深く沈むような青なのか、高く突き抜けるような青なのか。
夕焼けのオレンジか、エルメスのオレンジか。
あなたの青、私の青。彼のオレンジ、彼女のオレンジ。
一言に定義できない色は、言葉そのもの、そして人間そのものの本質のようだと思う。
同じものでも違うように見えるし、きっと最初から違うところを見ている。

「大好きだよ」って思いながら「もう会いたくない」って言ってしまった帰り道、信号の青を前に、「緑になった!」と歩き出す子どもとすれ違う。
迷いのないあの子に、私の着ているオレンジはどんな色に見えているだろう。
温かくもどこか気高いこの色を待っていたんだよ。
聞こえない声で小さな背中にそう告げる。

白のTシャツを着続けた夏と、赤のスカートを褒められた秋を経て、この冬は目がさめるような青が着たいと、はっきり思った。
私たちは年を重ねるほどに難しくなってしまう。悩ましくなってしまう。
何にでも意味を探してしまう。だけど、だから楽しい時もある。

冬こそ色を纏おう、って言うのは簡単だ。暗くなりがちだから、あえて色を。
でも、あえての色じゃ、なんとなくの色じゃもう物足りなくなってきてからが本当は楽しい。
この青は違う、このオレンジもちょっと違う。
そうして、ああこの色だ、と思う色を見つけた時、ああ待っていてよかったと思うのだ。
春夏秋冬、こだわりの色を持とう。私だけの色を待とう。

真向かいのホームで見つけるいくつもの色。
あの人はどういう気持ちであの色を待ったんだろう。
黄色い線の内側で、春と電車を待ちながらそんなことを考える。

Text:Miiki Sugita
Photo:Shintaro Yoshimatsu
Model:7A
Styling:CaNARi

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